父の愛情
数日間、わたしは悪夢ばかり見ていて疲れはてていました。
悪夢は様々なかたちでわたしを悩ませます。
その内容は言うのもためらうほどわたしにとっては恐ろしく、そして、わたし自身がひどい罪人だと核心させるまで繰り返されるのです。
わたしはひたすら死と言う事柄について考えておりました。
苦しむ事も悲しむ事にも麻痺していたので、前向きに死ぬと言う事柄に向き合えたのです。
昼間、風は涼しく、工事の音さえなければ、素晴らしく穏やかなバカンスと言えました。
とても穏やかな心持ちでした。
ああ、こんな日に、ぽつりと
ぽつりと死にたい。
激しい悲しみや憎しみの中でなく、穏やかなひとときに
ぽつりと
死にたい。
生は母だと思う。
死は無口で微動だにしない厳格な父だ。
父の愛とはなんと慈悲に溢れていることか。
来るものは決して拒まず、なにも言わずそっと抱き寄せる。
母に赦されるよりも、父に赦された時はなによりも安堵する。
母は優しいが、その優しさは時に無慈悲だ。
父の愛、それはなんと深いことだろう。
そんな事を思っていた、梅雨入りしたばかりの時の話。